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日本ベッドが目指す、ナチュラルで豊かな眠り

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人間にとって、睡眠は、なくてはならないもの。毎日8時間の睡眠を取ると、人生の1/3は眠りの中にいるということになります。眠り方、眠りの時間の過ごし方は、生き方を選ぶことでもあります。

日本ベッドは約1世紀にわたって日本人に上質な眠りを提案してきた日本の代表的なベッドメーカー。代表取締役社長 宇佐見寿治様に、2019年にオープンした南青山のショールームのコンセプトや日本ベッド流のものづくりへのこだわりを伺いました。(構成/小林暢世)

■「眠れる森」ショールームが提案する 豊かでナチュラルな眠り

――2019年秋に南青山に本社を移転した際に「眠れる森」をテーマに2フロアのショールームをオープンされました。「眠れる森」というコンセプトは、「眠り」と「森」という一見不思議な組み合わせのように感じています。

宇佐見様:日本ベッドは、西洋の「ベッドで眠る」文化を創業者の宇佐見竹治が日本に持ち帰って発展させてからもうすぐ100年になる企業です。創業以来、上質な眠りへのこだわりを追求しています。

睡眠は、生きていく上で全ての人になくてはならないもの。この大切な時間をいかに上質に健康に過ごすか・・ということを考えた時、大切なことは、心身からリラックスできるようなナチュラルな眠りの環境を作ることだと考えています。

そこで、ほどよく身を守り、かつ木漏れ日や鳥のさえずりが聴こえる・・という自然の森の環境の中で、安心して眠りに落ち目覚めることをイメージした「眠れる森」のコンセプトが生まれました。

――緑化ビルというと、屋上に木々や草花を植えたスタイルが多いですが、日本ベッドのビルはショールームの窓の外に樹木をしつらえており、なかなかユニークなデザインですね。都心の一等地にビルを構える家具メーカーのショールームとしては、なかなか体験できない不思議な景色です。

宇佐見様:オフィスビルっぽくなく、できるだけお客さまの住環境に近い環境を作る、という意図もあります。窓もいわゆるオフィスの窓らしくないでしょう?お客さまの寝室から眺めるお庭、というイメージでこのデザインを採用しました。

実は私は子供の頃から生物部で、自然界に強い関心がありましてね。この土地を手に入れてビルを建設した時に「できるだけ自然界のうつろいをあるがままに表現する」ということを意識しました。たとえば、管理が非常に大変ですが無垢材のデッキや階段を設置して、雨ざらしや人の使った跡を経年の変化として楽しんだり、自然の風合いを意識した有機的なデザインの塗り壁を玄関やショールームで使用して、画一化された工業製品では出せない自然の温かみを表現したり。

植えている樹木にはできるだけ農薬を使わない、自然に朽ちた枝葉は枯れた立ち姿を残す、ということにもこだわっています。ショールームの窓の外にある樹木の多くは実がなる樹木でして、四季折々、社屋の中で何かしらの花が咲いて実りがあるため、ミツバチや鳥がついばみにきたり羽を休めたりしています。港区の自然生態系の維持にも一役買っているんですよ。

こうした取り組みが評価され、先日、港区から「港区みどりの街づくり賞」をいただきました。

港区みどりの街づくり賞受賞施設

https://www.city.minato.tokyo.jp/matizukurikeikakutan/documents/paneru_r3_midori.pdf

――すばらしい取り組みですね。この建物自体が生きもののように変化し、また自然界の癒しのスポットにもなっているのですね。ショールームへのこだわりを通して、人生の豊かさ、喜びをお客さまとともに楽しみたいという思いが伝わってきます。

ショールームにいらしたお客様には、ぜひ窓の外の「森」にも目を向けて楽しんでいただきたいですね。

宇佐見様:ショールームは2フロアにわかれておりまして、3Fはギャラリーのような空間構成です。2Fのテーマはマットレスの「ライブラリー空間」、弊社のマットレスをすべて体感していただける空間演出になっています。住まいの中にいるかのようなシンプルなインテリア空間で、寝心地を心ゆくまで試していただけます。

■国産メーカーとしてのマットレスへのこだわり

――ショールームの作り方ひとつにおいても並々ならぬこだわり、これこそが日本ベッドが追求する「理想の眠り」へのアプローチなのですね。他社製品とは違う、日本ベッドのマットレスへのこだわりをお聞かせください。

宇佐見様:弊社の製品の最大の魅力はマットレスの品質。弊社のものづくりは、売りたいものを売る、というよりは、お客さまが真に求めておられるものを作る、というスタンスです。

寝心地というのは一人一人好みや感覚が違います。マットレスに求める硬さの度合いもそれぞれです。「これが理想」といえるものは万人に共通するものが無いんですね。

でも、それでは商売は成り立たないから、多くのメーカーは多くの人に売れる商品を大量生産した「マス商品」を売り出すわけですが、弊社はお客さま一人ひとりに合わせたパーソナル、ミクロと呼ばれる部分を大切にしています。

たとえば、日本ベッドのマットレスは、コイルの質・大きさ・数・配列の違いにより、絹の様にきめ細かく体を支える「シルキー」と、ほどよい硬さでしっかり体を支える「ビーズ」の2つのシリーズに分けられています。シルキーポケットマットレスは8タイプ、ビーズボケットマットレスは4タイプあり、体格や姿勢、感触や仕上がりの好みに合わせてお好みの寝心地を選ぶことができます。

―― 一人ひとりの好みに合わせた寝心地の良さもさることながら、日本の住宅規格に合う、かつ長持ちするといった製品の品質も、宮内庁御用達のメーカーらしい一流のきめ細やかさが伺えます。

宇佐見様:ベッドは明治以降に西洋から入ってきた文化ですが、日本の家屋で日本の四季の中で日本人が使うという点を意識しているのも日本ベッドならではの特徴と言えます。

特にシルキークチュールは、世界でも稀なハンドタフトという手仕上げの構造で、わた、詰め物、コイルをしっかりと糸で結びつける伝統的な技法を用いています。こうすることでベッドの中で詰め物がずれたりすることがなく、一体感を保った寝心地が実現できます。

表面層には希少な国産シルクとウールを敷き詰め、自然素材の優れた吸放湿性を活かしたつくりになっていて、日本の気候風土にあわせた心地よい感触が魅力です。

弊社の商品は帝国ホテルをはじめ名だたる一流ホテルで採用されていますが、他メーカーと違って製品の耐久時間が長いということも評価されている理由の一つです。

■1世紀近く上質な眠りにこだわってきた日本ベッドが目指ざすもの

――1926年創業以来、一貫して「ベッドを通して上質な眠り」「眠りから暮らしを考える」を提供している日本ベッドは、もうすぐ創業100周年を迎えます。これから日本ベッドとして目指していること、伝えたいことを教えてください。

宇佐見様:「衣食住」という言葉があるように、今までは、まず着る物、食べる物、それらが満たされてから住居、というように、住まいに対する意識は必ずしも最優先ではなかった時代が続いていました。それが、このコロナ禍をきっかけに「食住衣」に変わってきています。

コロナ禍をきっかけに、人と会わないテレワーク社会への転換、都心から広い郊外へと移住する方や二拠点生活者が増え、その結果、消費動向が変わってきています。衣服ではなく、住まいの環境にお金をかける人が増えてきています。

ファストファニチャー企業のような大量生産で商品寿命が短い商品ではなく、本当に自分に合うもの、健康に良いもの、長持ちするもの、が欲しい。そうした価値観をお持ちの方に日本ベッドはしっかり応えられるメーカーです。日本人に合う上質な眠りを作っているメーカーであることを、是非多くの方に知っていただきたいと考えています。

――日本ベッドが長らく良い製品を作っているメーカーだと実感するときはどんな時でしょうか。

宇佐見様:嬉しかったのは、世代を超えて「良いもの」と思っていただけていることがわかる時ですね。

以前、高齢のご婦人からベッドの修理をご依頼いただいたのですが、そのベッドはご婦人の親御さんから花嫁道具としてプレゼントされたものでした。

人生の節目にしっかりしたものを用意してあげたい、という親御さんのお気持ちももちろん嬉しく感じておりますが、長年大事に使ってご主人が亡くなった後も使い続けたいというご婦人の思いにも修理を通して触れることができました。

もうすぐ創業100周年を迎えますが、時代を超えて良い眠りを提供しているものづくりのメーカーであることを代々ご理解いただけていること、長く喜んで使っていただけるものづくりをしてきたことは、弊社の誇りです。

弊社の商品は大量生産して多くの方に使っていただく、というものではありませんが、気に入って使ってくださるお客さまに寄り添って、上質な眠りをこれからも作り続けていきたいですね。

インタビュー:

日本ベッド製造株式会社

代表取締役社長 宇佐見 寿治様

03-5402-4600

9:10-17:30 (平日)